第2回公演 短篇集『大山崎』

旗揚公演からほぼ1年開いた2004年3月、第2回公演として、2回目にして短篇オムニバス公演を行いました。

 

■ 公演情報
日時:2004年3月27日(土)14時〜、18時〜
3月28日(日)13時〜、17時〜
場所:スタジオヴァリエ
料金:前売・当日精算800円、当日1000円

 

■ 作品ラインナップ
1 ピロシキ
自分の腎臓がピロシキだと宣告された患者と医者の話。公演企画前に作っていて、「はりこのトラの穴」にも掲載していた。このコントを上演したいがために『大山崎』を企画したようなもの。

2 スカウト
町中で若い女性が勇者にスカウトされる話。先に「勇者と魔王」ができていたのだが、衣裳使い回さないと勿体ないので、もともとファンタジー長篇を書きかけていたものを、切り崩して短篇にした。

3 コンビニ
客の来ないコンビニ「11PM」の店長とバイト君の仕事風景。ひとつくらいシュールなものを入れようと思って作った。

4 タカシ
息子のタカシがビールを飲んで、・・ちょっと説明しにくい。
ピロシキと繋がるコントを作ろうと思ったのが書くきっかけ。

5 勇者と魔王
勇者と魔王が居酒屋で喋ってる話。

6 親父
一月前に死んだ父親が息子に会いに来た話。「ピロシキ」「タカシ」と書いて、もうひとつほしくなって書いた。

7 骨
これを書いてから医者と患者の話ばかり集めても面白いのではと思って更にいくつか書いてみたが、他のものはイマイチで却下した。

8 終わりの会
ひとりでやるものを何か作ろうと思い、少々ブラックなテイストで仕上げた。

9 レッスン
造語が好きで、僕の書く本には時々造語を入れることがある。
これはその最たる例。自分で作るわけだから、アイデアは無数に思いつく。

10 凄い配管工の兄弟
15作の中で一番最初にできたコント。ただ、そのままでは表現不可能っぽかったので、表現可能になるよう修正した。衣裳のたかつさんの凄さがここでも発揮された。

11 プリクラ
自分ではプリクラを撮るのが苦手だ。撮らないと決めていた頃もあった。僕みたいなプリクラ慣れしていないカップル、それが頭に浮かんで、あとは一気に書けた。(脚本)

12 鑑識
コントといえば刑事物かなということで。できるだけベタなものを作ろうとしたが、そんなにベタでもなかったような。

13 口説く
結構知的なコントばかりでバカなものがないなあと思い、こんなのもあっていいんじゃないかと思って書いた。ただ当所はあんな本番みたいに奇怪なものになるとは全く思っていなかった。

14 電話
取り違えを使ったものを一本。こういう知的なものも書けるんだぞっと。

15 苦情
どうしてもコントだけでは小さくまとまってしまうような気がして、歌をいれることにしたのだが、折角なのでコントの一部にした。要は歌のために書いたということである。

■ キャスト
加藤祐一
白木ぽん太
田中真美子
佐藤喜昭
木村賢介
遠藤斉生
橋本源氏
田中伸明(劇団いぬふぐり)*
(*=ゲスト)

■ スタッフ
作・演出:中野 守
舞台監督:木村賢介
照明:三國創、佐藤喜昭
音響:加藤祐一
音響OP:野上裕太(無名劇団)
衣裳:たかつかな
特殊衣裳:仲林トール(フリーランス)
小道具:白木ぽん太
メイク :田中真美子
宣伝美術:いぬしげ(フリーランス)、遠藤斉生
補助:三嶋絵美、村井春奈、辻中金吾郎
受付:たかつかな
制作:橋本沙貴子

■ SPECIAL THANKS(敬称略)
小西聖典、後藤麻子、城島里実、斉藤秀美、高向俊江、村上五月
越本佳世子、
桃色女剣劇団、劇団片手間、劇団未踏座、雨垂事典、
劇団いぬふぐり、佐藤家の皆様、and more

 

■ 演出家挨拶(パンフ掲載文)
一年ぶりです。皆様お元気ですか?
突然ですが、エスカレーターとエレベーターの言い間違いってよくあります。エレベーターに閉じこめられるという設定はドラマや映画でよく出てきますが、これがエスカレーターだと面白いんじゃないかと思いついたのが短篇ものを書くきっかけでした。今回はラインナップに含まれていませんが、エスカレーターの中に閉じこめられるサラリーマンの話です。
その後も短篇の執筆に挑戦しました。
何の道具も要らない、ただ役者がいるだけでできる手軽さを備えつつ、観客を魅了することのできる脚本が書けないだろうか。演劇部や劇団じゃなくても、クラスの出し物としてもできる、ローリスク、ハイリターンな脚本をと考えながら書いたものが「ピロシキ」です(後付け)。これはそこそこ評判をいただき、あちこちの演劇部の方々などに上演していただきました。本当に感謝です。
しかし、折角書いたのに、自分の演出による上演を果たせずにいるのはやはり、口惜しいもの。もっと短篇を沢山書いて、それをまとめて上演しよう。これが今回の短篇集『大山崎』の個人的な動機です。
『大山崎』という題名はみんなで決めました。本編とは繋がりが殆どありません。ただ、大山崎で創作したコントだからってことで決まりました。
昨年末に大山崎JCTが完成しました。中野劇団にとっても大山崎はJCTであり、これからまたいろんな人と出会い、一緒によい芝居を創っていければと淡く期待していますなどと上手いこと言ってみたりもする今日この頃です。
最後にこの公演を支えて下さった皆様にこの場を借りて深く感謝の念を申し上げます。感謝の念!

 

■ 公演を終えて
初めての短篇オムニバス。
企画当初は7〜8本のストックがあり、15本くらいやりたいと言っていたが、実際その中から採用したのは『ピロシキ』と『凄い配管工の兄弟』の2本のみ。
残りは稽古が始まってから書き足さなければならないことから、本数を減らそうと考えていたら、何だかんだとやりたいことが出てきて、結局15本になった。
上演という具体的目標があるときは、ないときと比べても筆の進みが早い。
というよりも、上演するかどうかわからず書いているものは、完成前にモチベーションが下がって、保留になることが多い。
もともとコント風ともいえる脚本を書いてきたので、本を書くことは思いのほか順調だったが、その他でいろんな予想しなかった不安が出てきた。
稽古の時間配分がわからなかったり、衣裳、小道具に凝ってしまってスタッフが物凄く頑張ってたり、舞台のデザインがなかなか決まらなかったり。
みんなが苦労した甲斐あって、お客様の反応は上々だった。(文:中野)