第3回公演 恋はぐだぐだ

■ あらすじ
雨で台風で雷で寒波の2月のある週末の夜、脚本家の松岡が目を覚ますと、昔同じ劇団にいた吉野麻子が勝手に部屋に入って缶ビールを飲んでいる。
麻子は劇団の主催者でその日は公演の千秋楽を終えて、トラックの返却が間に合わないからと、松岡が眠っているうちに勝手に小道具や衣裳の入ったダンボール箱、家具を部屋へ運び込んだのだと言う。雨に濡れた麻子にシャワーを貸し、ダイニングを片付けてに行っている間に、今度は、麻子が家の外に置いておいた喫茶店の看板らしき小道具を見たカップル、荒木と遙の二人が店と間違えて入室してきて、痴話喧嘩を始める。荒木の言動から、荒木が脚本の依頼主であると推測した松岡は、執筆の締切を延長したいがため、荒木と遥が破局を迎えないよう
腐心する。
ノンストップラブコメディ。

脚本:コチラに公開しています。

■ 公演情報
日時:2005年2月26日(土)18時〜
2005年2月27日(日)13時〜、16時〜
場所:スタジオヴァリエ(京都市)
上演時間:95分

■ キャスト
白木ぽん太(松岡役)
大井真理子(麻子役)*
三条上ル(荒木役)
疾風潤(遙役)
橋本源氏(ミラ役)
武井 望(杉浦役)*
(*=ゲスト)

■ スタッフ
作・演出:中野 守
舞台監督・舞台装置:辻中金吾郎
小道具:白木ぽん太
音響:佐藤喜昭
照明:村川謙一(劇団片手間)
衣裳・メイク:たかつかな
宣伝美術:いぬしげ(フリーランス)
財務・稽古場監督:加藤祐一
制作:橋本沙貴子

■ SPECIAL THANKS(敬称略)
村井春也。 佐々木博章 秋山はるか 芦田真奈美 大西由紀絵
こまつみか 恵藤唱文(夜叉猫)吉田真貴
劇団片手間 劇団ひなたぼっこ

■ 演出家挨拶(パンフ掲載文)
本日はご多忙ななか足をお運び下さいましてありがとうございます。中野です。
恋愛ものは難しいです。
価値観って人によって異なるもんだけど、恋愛物は特に顕著っていうか。
たとえばひとりの男性を見るとき、ある女性はイケてると思えても別の女性は苦手と思ったり、興味がなかったり。
だからこそ世の中上手く回ってるんですけど。
で、背伸びして、誰もが良しとする名作を書くのではなくて、自分の普段の価値観で書いてみようと思ったわけです。
何となく自分の中に可能性として起こりうる感情みたいなもので構築したというか。
だから自分の裸さらけ出してるみたいで恥ずかしいです。
ま、そんなわけで物語の中に演劇をやってる人達が出てくるわけです。
そのせいで演劇に詳しくない人にはちょっとわかりにくい表現もあるかもしれませんが。
また、今回いろんな制約つけて書いたんですが、そのうちのひとつが、「死」を扱わないようにしようと。
これがまた自虐的すぎました。
死って比較的観る側の心を容易に動かせる、いわばドラえもんに出てくる「味の素の素」の脚本版みたいなものなわけです。
毎回何だかんだと使ってきたんで、今回はその分展開が地味になっても頑張って封印して書きました。
でも本より何より、役者を観てもらえたら、役者の演技で楽しんでもらえたらと思います。
それが一番の言いたいことです。
このメンバーでしか作れないものに仕上がったと思いますので。ホント終わってしまうのが惜しいです。

■ 公演を終えて
初めてのラブコメ。
2004年7月あたりから動き出してたのに、12月になっても役者が揃わなくてかなりやばかった。
しかしこの状況で公演を実現できたのは大きかったと思う。
動員数の伸び悩みなど自分の中では次回への課題を残したものの作品自体は過去作品の中でもかなり好きなものになった。
今までの芝居はどちらかと言えばクールな演技が多かったが今回は熱さを見せられたらなあということを当初より念頭においていた。
役者の演技力を引き出す脚本っていうか、そんな意図をもって作ったんだけど、あんまりわかってもらえてなかったような。
脚本も今までと違う路線で書いたつもりだったけど、それも観客には伝わってなかったような。
思惑ははずれるものだ。
そしてこの芝居で始めて作詞作曲に挑戦した。と言っても作曲はひとりではできなかったんだけど。
この芝居だけは、あらすじを聞かれても答えにくいなぁ。何でだろ、シチュエーションコメディだからだろうか。(文:中野)